テクニカルアドバイス
For Roadster

テクアド メタルベアリングのクリアランス測定

以下の英文は海外のメーカーがメタルベリングのクリアランス測定について、記述しているものである。
英語は不得意とする人も多いと思いますが、辞書を片手に先ずは頑張ってみてください。
英文の後に要約を載せておきます。
非常に参考になるはずです。
それでは どうぞ!

 


 

We do not recommend the use of "Plastigauge" or any similar crush-type methods.
More accurate results can be obtained through use of a bore micrometer, or a "snap gauge" measuring method.

The recommended procedure is to install the main bearings in the block and torque the caps to the proper specifications. This will allow the bearing to conform as designed. Similarly ,rod bearings should be installed and the rod bolts torqued per the manufacture's specifications. By subtracting the crankshaft journal dimensions from the appropriate bearing inside diameters the VERTICAL OIL CLEARANCE is determined. Be sure and mark each bearing so that it can be returned to the proper location for reassembly. For best results do not install bearings in main housing bore or connecting rod locations other than that which it has been conformed to. 


 


 

 

 

 

 

 

 

簡単に要約すると、"チャンとやれ!"と書いてあります。

あきれないで下さい。本当にそう書いてあるのです。
では、チャンとやるとは どのようなことを言っているのでしょうか。

1. プラスチゲージはお勧めしません。
2. マイクロメーターを使用することで、より正確な測定結果が得られます。
3. メタルベアリングをブロックに装着し、規定値で締める。
4. クランクジャーナル径とベアリング内径の差が"垂直オイルクリアランス"となる。
5. 必ずマーキングをしてから取り外し、再度本組みする際は同じ場所に組むこと。

当たり前のことです。でも実際は凄く難しいことでもあります。
1/1000mmを測定するのは結構大変です。
本当に測定結果が正しいかどうか心配になったりします。そして何回も測定し続けると被測定物が傷だらけになります。
ましてや、柔らかいメタルベアリングを装着してその内径をボアゲージで何回も計るのは自殺行為ともいえます。
やはり普通にエンジンを組むことは大変なことなのです。

日産の整備書は賢く出来ています。テクアドの日産SRエンジンの項に載せていますが、メタルの厚みはメーカー出荷を信用することを前提として、ジャーナル径と、ハウジング径(ベアリングは装着せず)を測定して、適しているベアリングを選択します。
皆さんもう一度読み返してみて下さい。
メタルが傷だらけになるより、よっぽど良いと言う考え方です。

この考え方が最も反映しているのが、トヨタ、マツダのマニュアルに見られるプラスチゲージの推奨です。
一般エンジンでは、必要にして十分、すなはち、傷をつけるよりよっぽど良い。
あるいは、多数の整備工場を対象にして、高精度の組み付けを求めることより、ある程度のレベルを徹底した方が確実と判断したためであろうか?

前述した、"チャンとやる"はなかなか奥が深い様です。

結論として、それではプラスチゲージの測定でのエンジン組み付けはダメなのでしょうか? 
正直、そんなことはないと思います。例えば、マツダのメタルベアリングが1サイズの統一を行っている以上、メタルの選択の余地がありません。
すなわち、純正O/Hを前提としている以上はそれで良いのかも知れません。
ただ、私たちは精度を求めて、大切な仕事をさせて頂いております。
メタルのクリアランスに話を終始するわけではありません。
ジャーナル径を正確に測定する。クランクの曲がり、振れを測定する。
キャップの内径を測定する。
つまり、色々な個所を測定することで、エンジンの完成度が見えてきます。
素性の良いパーツでエンジンを組み付けたいと考えるのは、何もそのエンジンのオーナーに限らず、私たちく組み手にしても同じ事なのです。

だから、地道に正確に測定することから、始まる訳です。

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