テクニカルアドバイス
For Roadster

テクアド バッテリーのターミナル(端子)

突然ですが、問題です。


この写真から考えてください。ターミナルのロックボルトが縦方向になっています。
どうやって、バッテリーの端子にロックするのでしょうか?

通常ターミナルは横方向にボルト・ナットが付いています。

ナットを締めることで、ターミナルの隙間が狭まりバッテリー端子にロックさせる構造になっています。
ところが、写真の端子は縦からのボルトになっています。
もちろん使用されるバッテリーは通常のものです。

答えは、写真でどうぞ。

チョット見ただけでは、構造が頭に入らないかもしれませんが、要はターミナルの隙間が狭まることでバッテリー端子にロックさせればよい訳です。
このタイプはターミナルの下側に長方形型ロックナットが付いています。
お互いの合わせ面に凸凹にテーパーが付いているので、ボルトを締めていくとターミナル下部の凸がナットの凹に食い込むことでターミナルの隙間が狭まります。
面白い方式です。

頭が良い、ついそんな風に感心させられてしまう仕組みが外車には随所に見られます。
今回紹介したバッテリー端子はゴルフのものです。

反面、これで良いのかと首を傾げる場合も多いのが外車。
続いてはチョっとユニークなヒーターホースを紹介します。
車種はプジョー。ご存知おフランス。
通常は室内からバルクヘッドを貫通したヒーターパイプにゴムホースを差し込むのが一般的ですが、この車はプラスチックのジョイントに予めゴムホースがかしめてあり、写真のパーツはアッセンブリ−になっています。

今回、このプラスチックジョイントに亀裂が発生したため、突然水蒸気がモクモクとエンジンルームから出てきました。慌ててオーナーが持ち込んできたものです。
交換はいわゆるカートリッジ式みたいなもので、カッチャとはめ込むだけ。
ほんとーに大丈夫かなぁ?と後々不安が出てきます。

フランス、イタリアの車はエンジンは本当によく回るのですが、水は漏る。オイルは漏る。
燃料は漏る。雨は漏る。エアコンガスは漏る。これが常識。
チョッと前にランチャデドラのオイル漏れを修理しました。
ATとエンジンの間からオイルが漏れ出し、エキゾーストに掛かってしまう。
オーナーは運転中に頭が痛くなるとの事で思い切って、ATを降ろして見ました。
オイルが漏れていた個所はエンジンブロックテールのメクラ板からで、簡単なゴムシールが貼ってあるだけで4隅にボルトで固定。
これじゃあ、漏れちゃうよ。
と思いながら新品のパーツを見たらさらに簡単にゴムシールが予め付いている。
コイツらの感覚は理解に苦しむ。
結局、丁寧に全部剥がして、強力な液体ガスケットを使って修理した。
それからは全く問題ないのだが、危なっかしい扱いをなぜメーカーがやるのか分からん。
文章にすれば簡単に思えるが、実際の作業は大掛かりで工賃も決して安くはない。

電子制御はさらにお粗末で、頻繁にあちこちのインジケーターが点灯する。
終いには"今日は何もつかないねー"とオーナーが感心するがあるくらい。
殆どがカプラ−の接触不良で、症状が確認し難く、再現が出来ない。
だからなかなか直せない。

これらの全てを"味が在る"で片付けては少し無理がある。
日本人の外車に対する味が在るは外観と乗り心地に形容する場合も多く、実際の欠点をしっかり認識していないオーナーも多い。
だから日本車感覚で乗り回し、そして壊す。

その点、ロードスターのオーナーは車に対する理解度は非常に高い。
使い勝手が悪く不便である、価格は高い、雨が漏る、シビックよりははるかに遅い。
でも、味が在る。

この場合の味があるは納得である。

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