MARUHA MOTORS

新型4連インジェクション

NB8C (前期・後期) / BP用

4錬インジェクションキットは長年に渡りMARUHAでは多くの方々にご提供させていただきましたが、2016年より新型に移行して参ります。




30mm薄型スロトッルボディ


従来品との大きな違いの一つにスロットルボディ形状があります。
従来のボディは全長90mmと比較的にエンジンスペースを要するものでした。
ロードスターのエンジンスペースはそれほど余裕があるわけではないので、ある程度のコンパクト性が常に求められます。
この点をクリアできなと、ファンネルまでのスペースがうまく確保できなくなります。

新型ではこの点を踏まえ、ショートタイプのスロットルボディを採用。実に全長30mmの薄型を採用いたしました。
この事により、限られたエンジンスペースをより有効に使うことができます。

ベンチュリアダプター

4連インジェクションキットとエンジン仕様の適合性にはスロットル径が大きく関係します。
大きな排気量には大きな口径、小さな排気量には小さな口径が基本的な考え方で、これに加えて、回転数、カムシャフト、ターゲットパワーなどを考慮しながら組み合わせられます。
しかし、現実的に様々なサイズを用意するにはあまりにコストが掛かるのが4連キットの実情です。

そこでMARUHAではスロットルボディを45mmと50mmの2種類に限定し、NA8C/ NB8CのBPエンジンには45mmが基本設定され、2.1L用には50mmサイズが特別設定されています。

4連をどう使うのか?の観点から判断されるべきポイントですが、全開パワーを重視される場合はこのまま45mm径でよいのかもしれませんが、一般使用を含んだマルチ型4連を望まれる場合は、もう少しダウンサイズされた方が賢明な場合があります。

そのため新型4連にはオプションでベンチュリアダプターを設けてあるのです。
薄型スロットルの直前にマウントされるベンチュリアダプターの内径は45mm。そのままストレートでスロットルボディとフィットします。
ここに内径36mm・38mm・40mmと絞った3種類のベンチュリが装着可能になっています。
ベンチュリ効果で吸入空気の流速を変化させてピックアップの特性変化を狙います。乗じて中間域のトルク変化、あるいは最大パワーまで影響させることができます。

変化するエンジン仕様に合わせて、ベンチュリを選定し効率的なチューニングを目指せるのも従来にない新しい4連の考え方でです。

エアバランスチューブ

BP用4連に採用されるのはエアバランスチューブでアイドルを制御しています。
そもそも4連を一般的に使うには、エアコントロールを細かに制御しなくてはなりません。

目標アイドルをキープすること、AC・ヘッドライト・PSなどの負荷に対するアイドルアップ、ブレーキサーボのバキュームアシスト、PCVバルブからのブローバイガスの処理、など。
従来エアインテークチャンバーに持たせている機能を如何に4連インジェクションにフィードバックさせるかが大きな課題なのです。
単純に全開領域を求めたレーシーな4連であれば、ここまでの細か要項を満たす必要がないので、設定は大幅に容易になります。
しかし、それはMARUHAの考える4連システムではないのです。

簡単に言えば、各気筒のインテークポートからバキュームを取り出し、それを集合的に制御することで、上記環境に適応させるのですが、これをコンパクトに達成するためにデザインされたのがバランスチューブです。

スロットルボディにはインジェクターがマウントされるように設計されていますが、この本来のインジェクターポジションを、アルミチューブを介しエアバランス用に使っています。

バランスチューブには常に集合的なバキュームが掛かっており、それを両端から引き出し一方はアイドル制御のためのISCソレノイドに接続されます。

もう一方はブレーキアシストの為のサーボに連結されます。

また、中間に設けた小型サージタンクを介し、PCVバルブのブローバイ処理に使い、あるいはガスフィルターを介して燃料レギュレーターなどのバキュームに使われます。

このエアバランスプレートは従来のセパレート型バランサーパーツとは異なり、スペースを大変有効に活用する事を目的としています。
アルミ削り出しの大変手間の掛かる工法を敢えて採用し、コンパクトでスタイリッシュな4連システム構築の一役を担っています。

アルミサージングタンンク・PCV用

従来の4連はエンジン内で発生するブローバイガスは内部圧力に頼る方法で抜き出していました。
しかし、高回転をキープさせるサーキット走行などでは、内部圧力が想定以上に上がるケースがあり、この状況下に於いはオイルパンの内部圧力上昇のためにエンジンヘッに上った最終オイルはオイルいパンに落下し難い現象が起こります。

特にNB8後期のBP-VEの場合は、可変バルブタイミングの都合で、他BPエンジンに比べ大量にヘッドにオイルが上ります。

ヘッドに過剰に残ったオイルはブローバイと一緒に吹き出すこともあり、これを回避する方法の一つとして、PVC機能を4連に採用する事です。

MARUHAの新型4連にはエアバランスチューブの中央にアルミ削り出しの小型サージングタンクを設け、このタンク内の比較的に安定した負圧を使ってPCVを機能させています。

いわば、純正と同じ機能を4連にも持たせている構造と言えます。

ロングファンネル

スロットルボディのショート化の恩恵で、眺めのファンネルが装着可能になりました。
よりレーシーに仕上げるにはエアクリーナーを無視し最大限長めのファンネルも良いのですが、当社ではエンジン保護のためにファンネルソックス装着を推奨しています。

ファンネルソックスはファンネルに被せるだけの大変手軽なエアフィルターですが、4連の持ち味である吸入空気量の制限にも比較的影響が少なく、手軽さだけでなく性能面からも推奨されるアイテムです。

MAURHAではこのソックスフィルターの装着も考慮した上でのファンネル長を設定するわけですが、BP用のシステムの場合はそれでも60mmロングのファンネルが標準設定されています。
大変迫力あるビジュアル的な4連に仕上がっております。

インジェクター&デリバリーパイプ

NB8 Sr1.Sr2の場合は、オリジナルのインジェクターをオリジナルのポジションに設置します。そして、オリジナルデリバリーパイプや燃料レギュレーターもそのまま再使用します。

BPエンジンの場合は、インジェクターはエンジンヘッドに直接マウントされます。
より燃焼室に近いポジションで的確に燃料噴射をし、効率を高める狙いです。

インジェクター、デリバリーパイプ、燃料レギュレーター全てを純正品を再使用できる様に設計されています。
この方法により、全体的な部品構成の省略化(コストセーブ)とコンパクトでスペースを有効に使った4連を仕上がることが可能となりました。

インテークマニホールド

インテークマニフォールドは肉薄な設計で全体的な軽量化を目指しております。
優しい鋳物肌と肉薄設計は高い鋳造技術が垣間見れます。

各エンジンに合わせて設計されているインテークマニフォールドも新型4連の設定にはなくてはならない重要なアイテムです。

各部フィッティングへの拘り

燃料系、エア系、などの各部のホース接続は極力専用フィッティングが採用されています。
これらフィッティングはすべて当社専用に製造されたもので、汎用品ではありません。

外形はもとより、内径(穴径)、あるは全長など細かに各部に合わせて専用設計されています。
旧型の差し込み式(PushOn)ではホースの角度に制約が発生し、取り回の融通が劣り、結果的にコンパクト性に欠ける面が出てきます。
よりコンパクトに、且つ確実にキット構成するための工夫です。

アイドル制御

前述のエアバランスチューブでも説明した通り、一般的な使い勝手に対応するには、細かなエアバランス制御が必要になります。
バランスチューブでバキュームを集合的に取り出し、これを従来の純正アイドルソレノイドと連結させて制御をします。
そのためのアイドルコントロールブロックは今までのものと同じ考え方に基づき、同じブロックが採用されています。

純正のアイドルソレノイドをシステムに組み込むことで、配線を容易にしています。

スロットルポジションセンサ

MARUHAの4連キットは基本的にE&E社のFreedom ECUを採用しております。
Freedom ECUは常にスロットル開度を細かに検出し、構築されるプログラムへフィードバックが可能です。
採用されるTPSは非接点式を採用し、アイドルスイッチはスロットル開度、あるいは抵抗電圧値の2つから判断できるようになっています。

Freedom ECUと他ECU

基本設定としてE&E社のFreedom ECUをキット採用しております。
値段が手ごろで、且つ純正コネクターに完全カプラーONである点を高く評価しています。
他汎用ECUでも勿論制御は可能ですが、配線を各部に接続する手間、あるいは元の姿に戻す際の手間も含めて、完全カプラーONの優位性を重く見ている訳です。

また、Freedom ECUはどなたでも別売のソフト&ケーブルを購入頂ければ、プログラムを触れる環境にあります。
この点は特約店でしかアクセスができない閉鎖的なECUとは大きく異なるアドバンテージ。

PCの環境ソフトが最新版にはまだまだ至らない点は今後メーカー側に大きく期待する所ではありますが、必要にして十分な機能とコストパフォーマンスと言えます。

オリジナルプログラムと設備

MARUHAではイタリア・DIM Sport社製ダイノを使い社内で計測・セッティングを行っています。
プログラムされた電気負荷によるローラー抵抗により、より実践的なセッティングを可能としています。
ダイノを有する事で実走を不要としている訳ではありません。
しかし、公道を実走するにはリスクが伴い、また法の範囲内でドライブするにはあまりに制約が出てきます。

より実践的なダイノを導入することで、安全で的確にプログラムを作ることができます。
また、最大の利点は再現性。
狙ったプログラムが確実に性能にフィードバックされているかを実走のみで検証することは大変に難しい事です。

大まかな点をダイノでしっかりと作り上げ、最後に仕上げで実走に臨む手順が理想的と言えます。

DIM製ダイノの最大の特徴は前後の回転ローラーがシンクロ(同期)回転すること。
通常の走行をよりリアルに再現することで欧州車を含め、ECUのセーフモードを受けることなく、安全により実践的にセッティングが出来るのです。

現車合わせの必要性と4連特性への理解

4連インジェクションの最も大事な点は、セッティングです。
Freedom ECUの様なフルコンは様々なセッティングが可能となります。ただし、ECUは魔法の箱ではありません。
本来4連キットはパワーを狙う競技志向の高いアイテムです。普段の使い勝手はある程度目をつむり、全開パワーを求めてサーキットで疾走することが本来の考え方。

しかし、市場のデマンドはそう単純ではありません。
パワー狙いのアイテムにも、燃費に拘り、ACのアイドルアップに対応し、コールドスタートを充実させ、総合的な4連システムを要求されるわけです。

これは決して簡単な事ではありません。
MARUHAでは4連のみならず、他チューニングアイテムの良い点、悪くなる点の2面性を説明しております。
チューニングとは純正品として設定された性能を一度崩し、新たに設定する作業で、多かれ少なかれ悪化する面も出てきます。

4連も同じことで、迫力ある吸気音、パワー、レスポンスとかなり大幅に変化する反面で、細かな日常的な部分を損なう可能性をもっています。
そういった点はプログラムの改善やあるいは乗り手側に頼る事でカバーされていくのですが、中には純正の乗りやすさを全くそのまま維持しながら、且つ4連の特性を期待される方がいらっしゃいますが、この理解は正しくありません。
MARUHAの4連は実に乗りやすくできていますが、エンジンのコンディション、あるいは仕様により大きく異なる他に、使われる側のステージ(温度、標高など)でもセッティングが変化してしまいます。
フルコンであるが故にあらゆる環境に対応できる事が本来求めらる機能ではありますが、全国全てのお客さに満足いただけるプログラムを社内のダイナモテスターだけで達成することは限界があります。
特に通販でご購入される場合は、ある程度の現車合わせが必要になることをご理解いただいた上でご注文ください。
また、エンジン仕様が特化すればするほどに個別セッティングの必要性が高まる事もさらにご理解を頂きたいのです。

4連への憧れ

エンジンフードを開けた瞬間に目に飛び込む4連のビジュアルアピールは相当強いものです。
目の前に鎮座する輝くファンネルはたとえエンジンが回っていなくてもその音が聞こえてきそうです。

ガバっと開けたアクセルに追従するエンジンサウンドは4気筒/DOHCエンジンを駆るスポーツカーには全く似合うアイテムと言えます。
私たちMARUHAではこういった憧れになるようなアイテムを日々求めています。

ここまでの開発の道のりは決して簡単ではありません。

日常的な過密な工場ワークをこなしながら、開発・実験検証・とステップアップをしなくてはなりません。
限られたスタッフと時間の中で如何に皆さんを魅了する4連を作り上げていくのか?は大きなテーマであります。
今回の新型が最終型とは考えておりませんが、今提供できる上では本当に良く練り上げた製品と自負しております。

特に触れておきたい点がプログラムです。

過去膨大なデーター蓄積があるのは旧型用です。
新型に移行するという事はまた始めからデーターを積み上げなくてはならないことを意味します。
市場には様々なロードスターが存在します。
エンジン仕様も多岐に渡り、そのすべてと新型4連のマッチングを今この時点で皆様にご提供することは不可能です。

4連であるが故に、乗りにくい部分も出てくる事もあるでしょうが、細かにセッティングを繰り返し、地道にデーター取りを充実させていくことで更なる性能を掴み取りたいと考えています。

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