ちょっとFカムのお話

[カムシャフトの交換は、チューニングの基本]

どんなエンジンでもチューニングを行うに当たり,先ずはカムから入るのが一般的な方法である。
言い換えれば、カムが無ければ何も出来ないと言っても過言ではない。
それ程、カムシャフトの性能はチューニングに於いては大切である。

さて、一昔前であればハイカムと言えばそれなりに作用角の大きいカムを対象としていたが、最近の傾向としてはパワーよりも乗り易さを重視している傾向にある。
300度前後のカムをストリートで使っていたAE86ユーザーも多かった。
“上で回る”その“上”とは実際には頻繁には使わない回転域であるので、殆ど自慢に近いチューニングになってしまう。
その代償として、不安定なアイドルや、乗り難い低速域が生まれ、コレもまたチューニングの“味”として思い込む。
そうやって、ハイカムのチューニングは月日を流れてきた。

最近は無難で安定したカム選択をするユーザーが非常に多い。
マルハの販売実績からも、その市場ニーズの傾向が覗える。
Fカムが何故これ程までに市場にウケているのかと言えば、やはりその扱いやすさとコストパフォーマンスであろうと考える。



やはり純正に比べてパワーがあってこその“面白い”や“乗り易い”であり、まさしくストリート重視とは言えチューニング志向のカムである。

従来のハイカムについては言えば、最低でも作用角256度からのラインアップが一般的であり、いつの間にかユーザーもそのレベル以上のカムが“ハイカム”であると意識付けられている。
事実、ロードスター用に限らず他社のカタログを見てもマルハのFカムの様なコンセプトを持ったカムはない。
もっとも、マルハのFカムにせよEX側には256度を採用している。

今までの市場の流れとしては、より刺激的なチューニングが市場で金を生むチューニングとされてきた。
言い換えれば売り易いカムなのである。
もっとも、パワーを狙ったレース的要素の高いチューニングエンジンになるほど、それなりのスペックを持ったカムが必要である事は言うまでもない。
つまり、適材適所としてカムは選択をするべきである。
マルハとしても、何でもかんでもFカムをユーザーに勧める気はさらさらないが、ユーザーから“Fカム”を直接指名される事が圧倒的に多いことも事実である。

[カムのオーバースペックは避けるべきだ。]

ユーザーからの質問の中で、“オーバースペック”を懸念される方がいる。
自分の愛車にこんなパーツは果たしてお似合いなのか?との趣旨のご質問である。

チューニングは本来不要の類であり、壊れているわけでもなく、わざわざパーツを交換する必要性は無い。
このことは過去にも幾度となくHPで書いている事であるが、人生それでは面白くない。
主婦や彼女が理解してくれなければ男は心の奥で、“それならヴィトンのバッグをやめて紙袋で銀座や青山を歩いてくれ”と呟く。

“用を足す”と言う意味からは車の無改造も彼女の紙袋も同じ類である。
無駄なことの様に思いながらも楽しみを見出し、浪費と分かっているからこそ大事にするのである。

さて、話が脱線したが、オーバースペックについてであるが、ことカムについては慎重に検討して欲しい。
例えば、4ポットキャリパーや強化ラジエター、ボアアップピストン、などは日常的な観点からも弊害になるような面が無い。
ここでのオーバースペックはまさしくコストと使用目的とのバランスとなるが、カムについてのオーバースペック、例えばバラつくアイドルなどは日常的な観点からはかけ離れる傾向になるので、話が変わってくる。


実際、Fカムの販売開始に際しパフォーマンスに関しては自信があったが、どのようにプロモーションを掛けたら良いものかと最初は悩んだ。
スペックが比較的純正とは大きく変わらない事に、普段からスペックでカムを選ぶ事になれているユーザーにどのように説明をするべきか、そのアプローチに苦慮した次第である。
例えば、ブレーキパッドに関しても適正温度や摩擦係数を目安に性能を想像する日本の市場心理においてはある程度のメリハリのあるスペックがインパクトはある。
適正温度30度〜600度と0度〜700度の2つのパッドは後者の方が優れていると考えられ易い。
実際はスペックデーターが似ていようと、異なっていようと、結局は使って見なければ分からない。

チューニングパーツは先ず使ってもらうことがもっとも大事なのである。

Fカムも思い切ってB6用先行で販売を開始。
蓋を開ければ、悩んでいたことなどは一気に吹き飛ぶ市場の需要に“ニーズの盲点”を垣間見た瞬間であった。

多くのユーザーが望むべきチューニングはやはり“ストリート向け”のチューニングであり、絶対的なパワーよりも気持ちの良い軽快感なのである。

マルハのFカムについては、コチラ(来週アップ予定)をご覧頂ければ、スペック等はお分かり頂けると思うが、Fカム製法についてもう少しだけ補足しておきます。
現在の所は、純正カムをベースに再加工にて製品化しているが、“加工カム”として市場の全てを同じ類に扱われては大変に心外である。
中には誤った認識をお持ちの方もおり、雑誌の記事でさえ無責任な表現をしていることすらあるので、説明に苦労する時がある。
昔からカムの再加工はレースの世界では頻繁に行う。
特性の過大なカムからテストを始め、加工をしながら適切なプロフィールに収めていくことなどは良くある話である。
私自信も320度位のレースカムからリフト量を変えずに作用角を落として行き、結局288度当たりでレスポンスを重視したエンジン組みなども結構やった。
これらの場合は、スペックダウンとなるので“再加工でも可能”とイメージされやすいのであろうが、再研磨によりスペックアップもダウンも可能なのである。
カムの基準としては“作用角”と“リフト量”がやはりメインとなるが、実際にはプロフィールまで含めて性能が発揮されるものである。
カムリフトはベースサークル(基準円)に対し、カム山の突き出し量の“差”で決まる。
つまり、再加工カムであっても基準円を許容範囲にて小径化する事で、ハイリフトにも高作用角にもなる。
“再研磨カムは純正カムよりリフト量は小さくなる”などと書かれている記事を目にすると残念でならない。
何の為に再研磨をしているのか、少し考えれば分かりそうなものである。

基準円の許容に関しては、小径化によるカム速度の上昇やリフターへの摩耗などが挙げられるが、ハイカムとしてのリフト量を確保しながらの作用角アップのため、ランプも含め適切なリフトカーブに仕上げている。
つまり、皆様には安心してお使い頂ける機能と性能を備えており、弊社でも十分なテストを繰り返し、確実にパワーを発揮することを実証している。
一方で、下取り制度の為にノーマルカム返送を条件としており、この辺の手間についてはユーザーの皆様には誠に不都合をお掛けする次第で申し訳なく思う。
一日も早い下取り不要のニューカムシャフト販売に誠意努力しているところであり、更に幅広くラインアップされたカムをお届けしたい。

[価格が変わりました]

カムプーリーの仕様変更が行われ、Fカムセット(プーリー付き)の価格が変わりました。
NA6/NA8共に税込み73,500円(70,000円です。





Fカムセット(プーリーなし)はNA6/NA8共に据え置きです。
税込み50,400円(48,000円





プーリー単体の価格は従来通り。
税込み12,600円(12,000円)/個



商品コード :NA/CP-GBLK (右)
商品コード :NA/CP-SBLK (左)

デザインは従来のカムプーリーと変更はないが、外周ギヤのアルマイトを特殊硬質アルマイト工法に切り替え、皮膜厚と表面硬度を大きく引き上げた。
そのため、カラーとしては外周ギヤに関しては“ブラック”のみの設定となっている。
センターディスクは ゴールドとシルバーの2種類から選択可能。
新しい工法採用に際しセット価格も若干引き上げさせて頂きました。 誠に申し訳なく思いますが、どうぞご理解の程お願い致します。

[Home]