MARUHA MOTORS

シートリングカット

ビッグバルブの販売に際し、シートリングのカット加工をご案内いたします。

堅い金属でできているバルブをアルミ製のヘッドにそのまま組み込んでしまっては、簡単にヘッド側が摩耗してしまいます。
そのため、バルブのガイド役にバルブガイド(主に鉄製)が埋め込まれ、燃焼室側のバルブヘッド(傘部)との密着にシートリング(主に鉄製)が埋め込まれています。
ビッグバルブの組み込みに際しては、このシートリングカットは必ず行なう必要があります。
そこには様々なテクニックが必要になります。

テクニック1 :芯出し

バルブはガイドにサポートされて上下に激しく動きます。
先ずはガイドとの適正クリアランスが大事という事になります。
適正なクリアランスが確保できてる前提で、その中心位置をしっかりと割出した上で、シートリング側のカット加工を行います。
この芯を中心にしてバルブ傘がシートリングと接触するわけですから、心出しが確実にできていなければ、シートカットを行っても、実際のバルブ傘が狙った位置に密着しなくなるのでは意味がありません。

テクニック2 :カット面

バルブの傘端は3種類の複合カット角度で形成されています。
この角度に合わせて正確にシートカットを行わないと、確実なバルブ密着が得られません。

テクニック3 :カット量

シートカットは最小限度に収める必要があります。理由はバルブの突き出し量に影響してしまうからです。
バルブの突き出し量とは、ヘッド上面側(カムシャフト側)にバルブが突き出ている量の事です。
例えば、NA8Cは油圧自動調整のHLA(ハイドロラッシュアジャスター)を採用しているので、僅かな突き出し量のバラつきはHLAが吸収します。
しかし、シム式のカムシャフトに変更したり、あるいはNB8の最初からシム式の場合は、16か所すべての突き出し量がほぼ均等になる事が望ましく、その仕上げ精度はシム厚みの均一性に現れます。
カット量が多ければ、突き出し量が大きくなり、必要シム厚は薄いサイズとなりますが、設定範囲内に納めないと作業が困難になってしまいます。
一方で燃焼室側の容積にもバラつきを発生させるために、16か所一定のシートカット量が望まれるわけです。

テクニック4:バルブガイド交換

前述の通り、バルブとガイドには適切なクリアランスが保たれている事が前提になっていることで、精度を求められるシートカットが施されるわけですが、ガイドのクリアランスが過大であれば当然ながらバルブガイドの交換が先ず求められます。
バルブガイドのクリアランスは、ヘッド作業の中心にあるわけです。

バルブは上下運動で、燃焼室の吸気・排気の扉の役目をします。
効率を上げるために今回の様にビッグバルブを導入するわけですが、肝心の扉がしっかりと閉まらなきと、効果的な圧縮が得られません。
確実な圧縮はパワーの源でもあり、また安定したアイドルの達成、あるいは燃費の向上など、エンジン性能に大きく影響を与える箇所です。
そのバブルのガイドにガタが出ると、異音の原因、オイル消費の原因、圧縮低下の原因、など大きな性能低下につながります。

このガイドの交換は、通常外す時も、入れる時も打ち出し・打ち込みが一般敵なのですが、マルハでは液体窒素を使った作業を行います。

外す時には、打ち出しはしなくてはなりませんが、装着時には、ガイドを液体窒素で強烈に冷却し収縮させます。一方ヘッド側はバーナーで加熱し穴径を膨張させます。
この金属の膨張・収縮を上手に利用して新しいガイドを打ち込むことをせずに、スーッと挿入させるのです。
これにより、ガイド装着時の歪みを抑え、確実なガイド位置を確保するのです。

エンジンOH依頼を受ける際に、ポート研磨や燃焼室合わせなどを細かに要求される方も少なくありません。
これらメニューは勿論大事な部分ではあるのですが、基本はバルブガイドの適正クリアランス、そしてシートとバルブの密着性にあります。
これらを怠って、ポート研磨にコストを掛けても全く意味がありません。
技術の差とは、このような大事な部分を見落とすことなく、まず基本に徹することです。
ポート研磨は素人でもリューターを使ってポート内を根気よく磨き込めばインターネット画像で自慢の輝いたポート画像を紹介することができますが、本当のエンジン性能はもっと奥深いところに潜んでいるのです。

シートカットにせよ、バルブガイド交換にせよ、熟練職人と専用の設備が必要になります。
手軽なハンドツールでシートカットをするところもありますが、手です刃は360度を均一にカットすることは至難であり、周囲どこかに偏りが出てしまいます。
また、その刃物の中心となる心出しこそが、世界中の内燃機械で重視される部分であり高価な設備が特にアピールするポイントなのです。

兎角、エンジンチューニングは、ピストン・カムシャフトに代表されがちですが、ヘッドのチューニングの基本はバルブの密着性にあります。
そこから、バルブ・バルブスプリング・カムシャフト・面研・ポート研磨などと波及していくのです。

MARUHAヘッドチューニング 加工工賃

ヘッド加工は手間と経験・設備の必要とする作業です。
日本全国どこでも手軽に請け負える工場が揃っているとはとても思えません。

こと、ロードスターのエンジンに関しては、当にヘッドを送って頂ければ、以下料金にて加工を承ります。

1.ビッグバルブ用シートカット x 1台分
2.バルブガイド交換
ヘッド面研

当社までのヘッド往復送料はお客様負担になります。
期間に関しては、工場側の調整確認が必要なため、改めてお問い合わせください。

なお、燃焼室合わせ、ポート研磨は通販レベルでは受けておりませんのでご了解ください。

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