MARUHAの設定している4連インジェクション用スロットルボディは、40mmと45mmの2種類をメインに使い分けています。
特に45mmはBP用で多く使われているサイズですが、実際の仕様によってはもう少し小さくしたい場合もあります。
B6等は主に40mmを仕様してきましたが、こちらは仕様によっては逆にもう少し大きなサイズにしたい場合があるのです。
エンジンの仕様や状況によって、各部のサイズの見直しが必要なわけです。
しかし、エンジンパーツや給排気系のパーツサイズは、簡単には変更が出来るものではありません。
そこで、MARUHAではオリジナルのインナーベンチュリを開発いたしました。
スロットルの中にベンチュリを入れる手法は、まさにキャブレターの様な感覚に見えます。
WEBER(ウェバー )などでも、インナーベンチュリを入れて、内部流速の変化をもたらします。
ジェットと呼ばれる燃料の噴出し口付近にベンチュリの流速変化を利用した負圧を生じさせ、燃料を吸い込む形で霧化させるのが狙いです。
では、インジェクション仕様の4連ではどうなのでしょうか?
キャブレターとは異なり、燃料はインジェクターから燃圧を使って噴出す仕組みなので、負圧が必要なわけではありません。
果たして、4連でのベンチュリ効果は?
以下は社内エンジンベンチを使って、計測をしたデーターです。
ベンチュリは、45mm用スロットルボディ専用として、内径を40mm、38mm、36mmの3種類を設定しました。
ベンチュリのサイズ変更で、エンジン出力に変化が起こることがわかります。
ベンチュリはインジェクションでも効果が期待できるのです。
純正マニフォールドやスロットルボディをそのまま使用した場合に、純正スロットルボディの大口径化があります。
この場合は、スロットル径を大きくすることで、流量を稼ぐことを意図します。
しかし、4連のベンチュリは45mmからサイズダウンさせることなので、少し意味が違います。
純正ビッグスロットルは、全開時のパワーアップを図っているのに対し、4連ベンチュリは中低速域でのトルクアップやピックアップの向上を狙っているのです。
また、4連スロットルは、各気筒をストレートポートにして、ダイレクトに吸入させる方法で、霧化が難しい面があります。
インジェクションから噴射される燃料は霧化しにくく、ある程度の塊として燃焼室に流れ込んでしまうのです。
各メーカーは常に新しい技術を取り入れるべく、インジェクターの突出口を1つ穴から複数穴に変更したり、燃料圧力を上げるなどの工夫を怠りません。
NA用エンジンにNB用インジェクターを流用するケースがありますが、当然高品質インジェクターを使うことで、エンジン性能を引き上げることが狙いです。
これに準じて、ポート内の流速を変化させることも大変意味があることで、排気量、カムスペック、圧縮比、などのトータル的な観点からベンチュリサイズを選定し、エンジンの最適化を図るのです。
ベンチュリはアルミブロックから削り出された、非常に手間の掛かったデザインです。
45mm内径のスロットルボディに、高い精度を以ってスーッと入り込む繊細な加工を施しております。
ベンチュリ内径は、空気剥離を懸念したギリギリまで攻めた内壁角度を持たせています。
その角度、僅かに11度。鋭く尖った形状をしています。
この位までエッジを攻める加工は大変難しく、僅かな機械加工圧力でも歪んでしまいます。
大変繊細に加工されているのです。
45mmボディにベンチュリを入れなければ、当然内径45mm。
これにベンチュリを入れると、それ以下のサイズになります。
全開MAXパワーだけを想定すると、45mmボディが有利に思えます。
ところが、ベンチュリを入れて流速を調整した方がMAXパワーも上がる時もあるのです。
スロットルは大き過ぎても結果を出せないことが分かります。
また、単純に口径だけが問題ではなく、ポート形状の変化によりスロットル中心に負圧を集中させ、燃焼室によりダイレクトに混合気を送り込む事が出来ているのかも知れません。
当社設備では、そこまでの解析が出来ない代わりに、実際にベンチを使いエンジン特性の変化から、その効果を検証しているので、推測も混じってしまいます。
しかしながら、確実にベンチュリを使ったエンジン特性の調整は見合った使い方により、より4連の効果を期待することが出来るのです。
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