テクニカルアドバイス
For Roadster

テクアド 深夜通販

"ヤッー ジム。"
"ハーイ ジョン。"

"チョッと今困っているんだー。"
"どうしたんだい?。"
"触媒のネジを外そうと思ったんだけど、錆びが酷くて工具がロックできないんだ。"
"それなら丁度グッドなものがあるよ。"
"なんだ、普通の工具じゃないか?"
"これが今話題のメットリンチさ。"
"めった打ちのリンチ?"
"ナーニを言っているんだい、ジム。メットリンチさ。"

私がディレクタ−ならこんな臭い台本を書きそうです。
夜中にツイツイ見てしまうTV通販。
訛った言葉で家電を売りまくるJ−タカタより、外人版の方が好きです。
イギリスからのセールスを装う時はニッカボッカを履いてくるし、
ニューヨーク直行便と称して西海岸のビキニネーチャンの健康器具が最高だ。
あまりにもクダラナイモノが沢山あって、それがまた面白い。

いつぞや、イーグルなんチャラのサングラスをツイツイ買ってしまった。
職場に着くや否や現物拝見。 その場で社長にあげちゃいました。(俺、イラネ・・・)
"魚釣りに最高ですよ。 鷹の目を科学した新しいサングラスです。 泳ぐ魚が良く見えますよ。" 貰った社長、ご満悦。

ナーンか好きなんですよね。通販。
ペール缶位のプラスティック容器にお湯と汚れ物を入れてグルグル手で回す洗濯機。
ツナギの汚れが酷いので買って見ました。
使ってみたら、お湯を入れると重くなり、プラスティックパイプのステイがグラグラ。
おまけに、全然汚れは落ちない。 メカニックの油汚れは半端じゃありません。
ウチの奥さん3日で返しました。 ハイご返品。 女は怖い。

さて、こんな数ある通販商品の内、使えるものがありました。
冒頭で紹介しましたメットリンチ。
上: メットリンチ 下:ミラーツール 角でなく面でとらえるデザイン


クロームバナジウム鋼のありきたり素材のようですが、確かに優れていました。
謳い文句は:
1. インチ、ミリサイズ兼用。
2. ボルトの角ではなく、面でロックさせる為ナメる事がなく、また、ナメかかったネジも緩める事が出来る。

これ、本当です。
通常はインチやミリで工具は使い分けますから、兼用工具は私たちには必要ありません。
もしかしたら、ケータ−ハムのスーパー7乗りなんかには便利かもしれません。
スーパー7はチャンポン号です、簡単に言えば流用パーツの合体マシーン。
(紀和さん、もう少し価格を下げましょう、チョット&カナリ高過ぎです。)
だから、UKインチ、USインチ、ミリなどの規格ネジがごちゃ混ぜ。
これが慣れて来るとネジ見ただけで分かる様になりますから不思議な物ですが、
オーナーご自身はメットリンチが便利かも。

この工具は面で捕らえるので、実際にネジにトルクを掛けるまで、ある程度の角度を必要とします。
通常、時計の針で言えば5分位(角度)レンチを回せばトルクが掛けられる所を10分位回さなければならない。
狭いスペースではこれは致命的。
大きく振らなければならない工具はテンポが悪く、疲れます。

けれども、排気系の錆びて腐食が強い箇所のボルトなんかには最高です。
ロードスターの純正エキマニ部カバーの小さなボルト(M6,10mmレンチ)。
AE86の触媒アンダーカバーのボルト(同サイズ)

兎に角排気系のボルト、ナットには強い優れもの工具です。
よく考えてある面取りのお陰で、助かる事シバシバ。
他メカにもよく貸してあげます。
10mmレンチでは既にロックが出来ず、9mmレンチで引っ掛け様にも流石にレンチが入らず。 こんな経験はどのメカの方も必ずあるはずです。
こんな小さなネジ一個が外せないお陰で作業が大幅に遅れてしまう事ほどバカバカしい事はありません。

ボルトが錆びて外れない場合:
1. 腐食がキツく通常よりさらにナメ安いので注意。
2. 通常工具でナメそうであれば、無理をしないで次の手段。
3. メットリンチや他特殊工具を使う。
4. プライヤーなどで握るとボルト角は消滅するのでこれは最後の手段。
5. ロックが外れても錆び付き酷ければ折れる可能性大。緩める、締める、を繰り返して大事に徐々に外す。浸透材も忘れずに。折れるとリカバーにさらに時間が掛かる。
6.場合によっては他ナットを熔接し、それを基に取り外す。(プロ向け)

こんな風に手順があります。 はまれば如何にも時間が掛かりそうです。
素人の場合は:
7. 折れてもOK。 問題なし。ご愛嬌。
経験者の方、見覚えありませんか? 

キャビネットには宝の工具がギッシリ詰まっていますが、高い&有名工具だけが全てではありません。
時には手造り工具も活躍します。(機会を見て紹介しましょう。)
専用SSTも必要です。
今はメットリンチも大事な工具となりました。

皆さんもどこかのDIYショップなどで見かけたら、手に取ると分かります。
見かけはフツーの工具です。 デザインも悪いし、如何にも安そう。
ポイントはレンチの山です。
中々のアイディア工具です。

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