テクニカルアドバイス
For Roadster

テクアド 似て非なるもの


クローン動物に対する警告が出ている。
世界初の体細胞クローン動物の羊ドリーをつくった英国 イアン・ウィルムット博士がこれまでのクローン動物を調査した所、
クローン動物全ての遺伝子に何らかの異常があることが分かった。っと英国の新聞が報じている。
体の巨大化、胎盤の巨大化、心臓欠陥、発育障害、肺の異常、免疫機能不全、突然死。

人間への応用は禁じ手の研究でもあり、今後の成果を人類が望むものか否かは私にはわからぬが、
同じ動物(クローン)を創造するには未だ神の許しは出ていないようだ。

つくり上げられた動物はクローンでありながらその母体とは異なる、似て非なるもの。

重い話しになりましたが、車の世界も似て非なるものが溢れている様です。
ヨーロッパのメルセデス、BMW、ポルシェ、フェラーリ、ジャガーと 年々 NEWモデルがリリースされても必ず基本コンセプトがあって、
必ずどのメーカーの車か直ぐに分かる。
斬新なデザインと伝統が上手く融合、そして確固たるステイタス。

所が、残念ながら 日本車にはそれが少ない。
今や勝手なネーミングと似たようなデザインでメーカーすら分からぬ始末。
流行のミニバン系統は凝ったデザインより後付けエアロのスペースを敢えて残したシンプル型に周到。
新車販売時から何処かしらのエアロ屋さんとタイアップで出来合いものを販売するセット販売戦略。
おまけに17、18インチのアルミセットもあつらえて、ユーザーの意識を集める。

昔から日本車の模倣は当たり前の様に有った。
昔は日本が追う立場なのだからそれはそれで良いとも思う。
誰が考えてもホンダのN3などは天才イシゴニスが作ったミニクーパーを徹底的にお手本にしたことは想像できる。
当時は欧州車が日本車のお手本であった。
今は違う。
日本にいれば、日本車が回りに走り回る。 日本に居ながらの日本車は日本人には国産車である。
当たり前の話である。
一歩アメリカで車を探せば、日本車、ヨーロッパ車は同じ基準で見られる。 日本車もアメリカでは外車なのだ。
しつこく当たり前の事ではあるが、多くの日本人にはその感覚があまり無いと思う。
簡単に言えば、トヨタのレクサスはメルセデス、BMWと凌ぎ、NSXはポルシェと張り合う。
サッカーがJリーグだけではダメな事が今や当たり前のことで、W杯で結果を残す事が国民的期待になっている様に、
日本車も世界のトップを争うステイタスがもっと欲しい。

フィットが流行っているが、そのまま大きくすればNEWシビックになる。
親亀、小亀のルックス路線はホンダのお家芸。
チョッと前では、ビスタのサイドパネルはメルセデスにソックリ、さらにもっと前のルーチェのサイドも同じくメルセデス、
ディアマンテのマスクはBMWそのもの。 コロナのグリルとフードのラインはジャガーXJSにも見える。
最近のミラジーノはミニ、 新型マーチはビートル、数え上げればきりが無い。
BBはアメリカンを意識して、ヴィッツはヨーロッパスタイル。 今度の新型IST(イスト)はヴィッツベースでオバフェン意識したマッチョ風。
まさしくヨーロッパ流行スタイルを日本に取り組む意図がアリアリである。
われらがロードスターもエランである。

発想は貧困でもコピーは上手い日本人とかつては世界から散々いわれたが、
今やコピーは他アジア諸国に食われている。そして底上げを図る彼らの技術は急上昇。
例えば、韓国車をマジマジご覧になられたことがありますか?実に良く出来ている。
内装、下回り、 まさしく日本車そのものである。
アメリカ車やヨーロッパ車にはどこか独特の処理や構造があって、直ぐに日本車と違うと感じるが、韓国車はまさしく日本車そのもの。
かなりのレベルで日本の技術が影響している事が簡単に分かる。

パソコン、デジカメ、何でもござれのハイテク日本のつもりがCP関連も今や意気消沈。
意気消沈の日本のはずが、銀座の高級ブランド直営店がOPENラッシュ。
不況の中からさらに販売を伸ばす有様。 何処が不況か? ハローワークが失業者で溢れているのに何故売れる高級バッグ。

ステイタスなのだ。

ステイタスがあればこそ、コピーが出回る。
所が、多くの日本車がステイタスを満たさない流行ものデザインを随所に取り入れている、言わば 流行路線的な物が多すぎる。
傾向と対策 的デザインでこのまま本当に生き残れるのだろうか?

トヨタのF1プロジェクト。 なんともトップスピードは見事な物で エンジン性能は十分期待ができる予感がする。
ミカ・サロが悪いのかどうかは分からぬが、最終的には日本人ドライバーでお立ち台が今の日本には絶対必要である。
日本の技術と日本人。 これこそが日本車ステイタスの絶対条件。
ホンダは他力本願でのF1復帰だったが、当てが外れて未だに大苦戦。
ルマンで優勝したアウディ株はここ数年 もの凄い勢いである。
めぼしいライバルが居なかったのはラッキーでもあるが、タイトルを取るとこが如何に大事なことであるかは アウディ市場の勢いを見れば明らか。
マツダロータリーで優勝したジョニーハーバートも今年はアウディでルマンに参戦するらしい。 益々 アウディである。

アメリカでのレクサスがある種のステイタスであるらしいが、同じ金額であればどうしてもメルセデスになろう。
実に多くのメルセデスがアメリカで走り回る。
ポルシェ・ボクスターは日本のロードスターの様にそこらじゅうで見かける。

戦略的販売が全てなのか、真のステイタスが全てなのか?
流行りものをリードする側、される側、 この違いでもあろうが、なんにしても伝統のヨーロッパの前では日本に対する世界の評価はどうしても低い。
便利、安い、壊れない、ユニーク、これだけ揃えても ステイタスには叶わぬ諸刃の剣。

メルセデスがC−クラスの価格を下げる。
BMWも大衆クラスを出してきている。
ポルシェもボクスターで市場に合わせて来ている。

高級車をメインに扱う彼らが懸架版で販売に乗り出せば、安いBMW、安いベンツとユーザーはステイタス欲しさに低グレード車を購入。
結果的に今まで売れていた上級モデルの売れ行きが衰える。 採算が取れない。 

日本にはチャンスとも思える状況なのに、100万新車構成で儲けていては、弱った彼らを超えられないのではないだろうか?。

ヨーロッパが認めるステイタス作りは日本車では不可能なのであろうか?

例えば、トヨタやホンダがF1でフェラーリ蹴散らし、常にトップ争いを演ずる光景が続いたとしよう、 アメリカCARTでトヨタが勝ちつづけたとしよう。
世界の評価はガゼン変わると思う。
勝負に勝つTOPクオリティー、 それが先ずステイタスへ繋がる近道であるなら、今のF1プロジェクトの持つ意味は非常に大きい事になる。

早いうちに日本勢に勝って頂きたいものである。

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