テクニカルアドバイス
For Roadster

テクアド  NB系制御(ECU)

京商のSKYMODEL1000をご存知であろうか?

なんとも手軽で簡単に楽しめる電動ラジコン飛行機である。

子供の頃からラジコン飛行機は私の憧れであった。
30年以上も前であるが、小学生の頃に近くの河川敷でラジコン飛行機を間近にした。
当時ではまだ珍しく高価なラジコン飛行機。 当然エンジン機であり、見事な飛行を見せてくれた。
デカく迫力のある飛行機であった。
近くによって親父たちのオモチャをまじまじと見ると機体の中には何やら機械が一杯詰め込まれており、
小さなエンジンが誇らしげに実機さながらのリアルさ出す。

完璧な道楽オモチャであり、子供の私に手の届くはずも無く、単なる憧れの宝物に過ぎなかった。
あれから 月日は流れ、途中何度となくラジコン飛行機の世界に入り込もうとしたが、資金やましては自由になれる時間も少なく、
なんとなく今日まで機会を逸していた。

息子のオモチャとして圧縮空気を使うプロペラ機を1年半前に買った。
付属の空気入れは自転車用のそれと同じ形である。
機体の殆どは0.5Lほどのペットボトルで、それに翼がついているだけの単純構造。
ところが魅せられたのは、圧縮空気を数ミリのピストンを動かし、偏芯運動でプロペラを駆動させ推進力を得る仕組み。
見事なパワーで、なんと400M位の飛行が可能である。
飛んだ後は定常旋回の風任せだが、感動する力強さがあった。 オコチャマ用には十分である。

そして第2弾、今回挑むは電動ではあるがれっきとしたラジコン飛行機。
私の意志で飛ぶのである。 I have a control である。
“やめてください 片桐機長!” それー逆噴射―なんかの世界なのである。

2CH(チャンネル)ながらプロポ(送信機)も付属。 定価14,800円なり。
実勢価格は80掛け程度。 必要なものは全てキット込みの楽々お手軽品。
更に約15分のロングフライトが可能。送信半径は実に200〜300Mに及ぶ。
2chであるから、1chはプロペラの回転速度の調整。残るは左右旋回のラダー。
つまり 上昇、下降はプロペラ回転数で行う。 コレだけの動きであるが私には十分である。

早速 速攻帰宅。

息子の尊敬と憧れの眼差しを受けて父ちゃんはラジコンを組み立てる。
メチャメチャ簡単。 電池を入れて、輪ゴムで主翼を固定する程度。

されど初めて手にするラジコン飛行機。
説明書はシッカリ熟読の予定が、気がはやり、いきなりスイッチON。
ラダーがグイグイと動き、ペロペラがブヮーンと回りだす。

完璧である。(?) あとは父ちゃんのテクのみ。

直ぐ近くの河川敷グランドへ直行。 親子二人ダッシュである。

車輪が付き、この飛行機立派に自力で離陸可能。
やってみました、初めての離陸。
フゎッと浮き上がり、慌ててスロットルオフ。 華麗に着陸。
“コレはいける。”と確信したキャプテン父ちゃん。

2回目にはいきなりフルスロットル離陸。
上昇しながら右に旋回、(リアルだ〜、本物見たいダ〜と感激!!!)
つかの間、大きな木に直撃。 そのまま宙吊り。(落ちてこない・・・)
あぁ〜、いきなりのトラブル〜

落ちていた棒切れを何十回も投げつける。
軽蔑と悲しげな眼差しに変わる倅の視線を感じつつ、原始的な下手投げを繰り返し、
おサルの父ちゃんは遂に機体を取り戻す。

えがった〜、チョッとばっかっし羽に傷が入ったが、大丈夫。
“今日の俺はツイているぜ”と自己暗示。

3回目のフライトに何の躊躇もなくトライ。
見事な離陸。 大きく右旋回。 更にスロットル。機体は高く、高く 舞い上がる。
今度は左に旋回。 またまた上がる気体。
“おっサーマル掴んだかな?”なんて度素人の勝手な思い込み。

そして悲劇は簡単に起こる。

なんだか高すぎて不安に感じたお馬鹿な父ちゃんはスロットルを押さええる。
突然、機体は上空高くから急降下。
“えっ????? グライダーの様にならない〜”

慌ててスロットルON。 2chの悲しさ。 急上昇どころか、拍車をかけて急降下。

倅の目の前で地面に直撃。
お見事な大破である。

とぼとぼ二人家に戻り、かすかな期待を胸にリペアキット一覧を確認するも、
プロペラが何円、主翼が何円、と細かなパーツばかり。
細かい事ばかりに気を使う姑息なkyosho軍団。 

どこにも “プロポ以外の全部パーツ” は載っていない。

僅か3回のフライトで14、800円が終わった。高けーオモチャである。
長げー枕でもある。

され、今回のテクアドはコントロール不能。
落ちた機体もコントロール不能であったが、実はロードスターにもコントロール不能がある。 
それは 禁断の箱。 ECUである。
マルハの製品の中に NA系のROMチユーニングが在りますが、NA8のSr-2以降とNB系には対応しておりません。
メーカーが気前良く資料を出してくれれば、コレも十分チューニングが可能になりますが、
そんな事は当然期待できるわけも無く。

そんな中、少し気になる事態が見受けられます。
NB系のノッキング。 加速中に中速域でカリカリっと鳴くのです。

NA系の場合はカムの後ろにクランク角センサがあります。 
このセンサでピストンの位置を検出している訳ですが、多少スライドさせる事で点火時期を調整する事が出来ます。
(コレで良いと言っているのではないぞ。)
言い換えれば、整備上、点火時期のイニシャル設定をしなくてはならない事にもなるのですが、
(つまり、基本設定、この設定を基にECUは天下時期の指示を出すのである。)
NB系はカムプーリー側とクランクプーリー側にピックアップセンサを固定配置する形態に変わっている。
NA系の様にスライド(アジャスト)させることが出来ないのである。
メーカーとしては点火時期のイニシャル設定すらしなくて良いといっているである。

整備解説書にはこうなっている。

(点火時期が)標準値内にならない場合は以下部品点検を行う。
■ カムシャフト・ポジション・センサ 
■ クランクシャフト・ポジション・センサ
■  スロットル・ポジション・センサ
■  水温センサ
■  ニュートラル・スイッチ
■  クラッチ・スイッチ

(ここからが問題) 上記部品が正常であれば、PCMを交換する。

PCMとはECU本体の事である。 お手上げです。

NB系の場合、ノーマルのままでノッキングが出ている場合、対処の方法がないということです。
ノッキングはエアクリーナー交換でも起こってしまう可能性があります。
面研すればクランクとカムの位置関係も変わってしまいます。

今のところ、最も有効なのはフルコン。
当社ではフリーダムを積極的に使っています。 価格的に非常に手軽な事もありますし、
その気になれば誰でも、どこでも使える(簡単ではないが)範囲の広さも有効です。

NB系のノーマルエンジンでもフルコン制御させる事でよい結果は得られています。
カム、面研、ピストン変更、キャブ、4連、 制御的にはマルハとしては十分対応可能なポジションなのですが、問題は価格。
安いといえどもフリーダムは立派なフルコン。
10万円の価格は簡単に捻出できるものではありません。

さて、この価格と性能、そしてNB系の整備状況。
この辺りをオーナーがどのように考えられるかがポイントになりそうです。

[back]